3年前。
出生前診断で【先天性横隔膜ヘルニア】が見つかり、生まれてすぐの手術。
そして、1ヶ月弱NICUに入院していた晴ちゃん。
出産前後も不安との戦いでしたが、本当の戦いは退院した後に待っていました。
退院後、まず始めにぶつかった壁。
それは『母乳育児』でした。
私は、『赤ちゃんは、人間に備わった本能によって、自然とお母さんのおっぱいを飲めるようになる』んだ、と単純に思い込んでいました。
それは、生まれてすぐにお母さんに抱かれ、カンガルーケアをしてお母さんのおっぱいを吸わせた赤ちゃんの場合の話でした。
晴ちゃんが初めて覚えた母乳の味は、哺乳瓶から出る母乳でした。
入院中には、搾乳して保存してある母乳を、哺乳瓶に入れて飲んでいたため、いつしか哺乳瓶大好きになってしまったんです。
やっと退院できて、母子一緒に過ごせて、直接おっぱいをあげられると思った矢先、、、。
晴ちゃんがおっぱいを完全拒否し、直接授乳が出来ない事態に陥ってしまいました。
簡単に吸える哺乳瓶に比べ、直接おっぱいを吸うのは、口の力がいるしコツがいるので、実は赤ちゃんにとって難しいそうです。
簡単に飲める人工物の哺乳瓶を先に覚えてしまった晴ちゃんは、本物のおっぱいを目の前にしても、一体どうやって飲んで良いのやら分からず混乱してしまいました。
直接吸わせようとしても、エビ反りして全力で拒否し、壊れるくらい大声で泣きじゃくります。
こういう状態の事を、専門用語で『乳頭混乱』と言うそうです。
幸せなはずの授乳時間が、その頃の私にとっては地獄でした。
我が子に、母親の自分を拒否されているような気がしていました。
私も、悲しくて悔しくて、一緒に泣くしかありませんでした。
数時間置きに、親子で泣きながら直接授乳の練習→→諦めて哺乳瓶での授乳→→授乳が終わると次の授乳に向けて必死に搾乳。
搾乳が終わり、一息つくかつかないかでまたやってくる授乳の時間。
高価な搾乳器が早いうちに壊れたり、結構体力を使う搾乳による全身筋肉痛に悩まされてました。
ただ、ただ、頭の中をめぐるのは、
(どうすれば直接飲んでくれるの?)
(なんでそんなに泣くの?)
(どうすればいいの?)
(どうすればいいの???)
『乳頭混乱』状態の晴ちゃんと、同じく母乳育児の壁にぶつかり、混乱を極めて今にも心が萎えそうな自分。
今では、生後間もない赤ちゃんを見ると、素直に(カワイイなあ)と思えますが、当時は正直そう思える心の余裕がほぼありませんでした。
今になって、あの時もっと赤ちゃんの可愛さを堪能しておけば良かったと後悔しています。
そんなこんなで、心が萎えそうになりながら、心身ともにボロボロの怒濤の日々が過ぎていきました。
☆大苦戦した母乳育児【後編】☆に続く……