先日の続きです。
私は、妊娠後期(9ヶ月)の検診で、お腹の赤ちゃん(晴ちゃん)に、
『先天性横隔膜ヘルニア』
という産まれてすぐ手術が必要な病気が見つかりました。
そして、晴ちゃんは産まれてすぐに呼吸器を付けられ、NICU(新生児治療室)に運ばれていきました。
今までTVなどで見てきたおきまりの出産のシーンは、無事に産まれてきた我が子と対面したお母さんが、安堵と感動の涙を流して赤ちゃんを抱っこしている風景。
そして、看護師さんが、
「元気な女の子(男の子)ですよ。」
と言ってくれる。
まさか、自分の前にこんな例外な風景が待っているなんて……
産んだ直後は、初めての出産が終わった安堵感はありましたが、感動する余裕は無く涙も出ず、ただただ、今後の晴ちゃんがどうなっていくのかを心配に思っていました。
初めて入ったNICUで見た晴ちゃんの姿は、とても痛々しかったです。
薬で眠らされて、酸素チューブを付け、身体のあちらこちらに何らかの管が繋がれ、まるでロボットのような姿で、容態が安定して手術できるコンディションになるのを静かに待っていました。
今の晴ちゃんが生きるためには、こんなにたくさんの装置が必要なんだな……と、複雑な気持ちでした。
その後……
手術は無事成功!!!!!!
左肺を圧迫していた小腸大腸などを、胸部から下腹部の位置に戻し、横隔膜を縫い合わせる手術でした。
晴ちゃんは引き続きNICUで治療を続け、私は通常どおり5日目に退院し、自宅で搾乳した母乳を、晴ちゃんのいる病院まで毎日届けに行く日々が始まりました。
ただ、まだ消化する事に慣れていないので、母乳は練習のために少しずつ哺乳瓶で飲ませて、メインの栄養源は点滴でした。
そして、毎日通ううちに、少しづつ晴ちゃんは元気になっていきました。
飲める母乳の量が増え…
身体に付いていた、たくさんの管は徐々に減り…
当初は100%人工呼吸でしたが、退院する頃には酸素チューブも抜け、100%自分で呼吸出来るようになりました。
晴ちゃんの病状は幸い、先天性横隔膜ヘルニアの程度の中でも軽度な方だったので、NICUで1ヶ月弱入院したのち退院して、通常の生活をすることができました。
しかし、先天性横隔膜ヘルニアは、軽度~~最重度まで、個人差が非常に大きい病気です。
どの場合も、産後すぐの手術は不可欠ですが、現在の晴ちゃんのように、通常の生活が送れるまで回復する場合~~介護が必要なレベルなど、さまざまです。
それに、妊娠中のエコーで出生前診断されていたか、出産後に初めて異常に気付いたかでも予後が大きく違います。
さらに、出生前診断では、あくまでも病状の予測しかできず、出産後に直接赤ちゃんを診察して初めて本当の病状が分かるので、とても不安な妊娠期を過ごす事になります。
晴ちゃんがお世話になった病院では、先天性横隔膜ヘルニアの症例は、年間2例程度だそうです。
ということは、日本全体で、考えると、今現在、100名レベルのママが不安な日々を過ごしているかもしれません。
私も、妊娠後期や晴ちゃんの入院中に、夜な夜なネット検索をしては、予後が悪い症例を見付けては落ち込んでいました。
私のこの文章が、今まさに不安に押し潰されて悩んでいる方の希望になったらいいなと思っています。
自分が妊娠&出産してみて、初めて実感したことがあります。
芸能人の出産ニュースなどでよく目にする、
『母子ともに健康です。』
っていうお決まり文句みたいな言葉。
以前はそれが当たり前だと思っていたけれど、間違っていました。
赤ちゃんがお腹に宿る事も奇跡。
赤ちゃんがお腹の中で出産まで無事に育つのも奇跡。
そしてさらに、生まれた奇跡の命を、大人になるまで育てる苦労も壮絶です。
もちろん、我が子は可愛くて仕方がないですが、まだまだイヤイヤ期がおさまりそうも無い、3歳になりたてのヤンチャ娘と格闘しながら、毎日育児に奮闘している今日この頃。
私は、『産みの苦しみ』は何とか乗り越え、今は『育ての苦しみ』と戦ってます。
でも、苦しみ以上の幸せを感じています。
おわり